テックの旅人

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マッキンゼーが指摘した日本の営業生産性の低さの原因とその現在地

ちょっと昔のレポートですが、マッキンセーの「日本の営業生産性はなぜ低いのか」を改めて読み返しました。

こんな感じのレポートです。システムエンジニアからの視点で整理してみました。

 

マッキンゼーは、営業コストに対する粗利の割合を示す「営業ROI」という指標を用いて、日本の営業生産性がグローバル水準を大きく下回っていることを明らかにしました1。その原因として、以下の7つの根本課題を挙げています21

  • 課題①:組織全体の調和と協調を志向するがゆえの不明瞭な責任分担
  • 課題②:「お客様第一主義」文化に起因した非効率性
  • 課題③: 顧客との取引関係の固定化による新規成長領域へのリソース振り向け不足
  • 課題④: 前線営業マンが直接の顧客対応以外に時間をかけ過ぎている
  • 課題⑤: 営業プロセスがデジタル化されていない
  • 課題⑥: 属人的で分業制になっていない
  • 課題⑦: 成果にならない非効率な営業経費

これらの課題は、日本企業が長年培ってきた文化や慣習に根ざしており、簡単に変えることはできません。しかし、営業生産性を向上させることは、企業の競争力や成長性、そして社員の所得や満足度にも大きく影響します。そのため、マッキンゼーは、日本企業に対して、以下のような改革策を提案しています1

  • 提案①: 顧客セグメンテーションを行い、最も価値の高い顧客や成長性の高い市場にリソースを集中させる
  • 提案②: 前線営業マンが商談時間を増やすために、営業サポートやバックオフィスなどの非商談タスクを分離・効率化する
  • 提案③: 営業プロセスをデジタル化し、CRMやAIなどのツールを活用して、営業活動の効果測定や最適化を行う
  • 提案④: 営業組織や報酬制度を見直し、明確な責任分担とインセンティブを設定する

情報システムのエンジニアから見た注目点および考察

情報システムのエンジニアとして、私が注目した点は、提案③の営業プロセスのデジタル化です。この点は、情報システム部門が主導的な役割を果たすことができると考えます。

現在、多くの日本企業の営業プロセスは、紙ベースやエクセルベースで管理されており、データの収集や分析が困難であることが多いです。また、営業マンの行動や成果を可視化することも難しく、営業マネジメントの質にも影響します。このような状況を改善するためには、情報システム部門が以下のような取り組みを行うことが必要だと思います。

  • 取り組み①: 営業プロセスの標準化や自動化を行い、営業マンの負担を軽減する
  • 取り組み②: CRMやAIなどの最新のテクノロジーを導入し、営業活動の効率化や最適化を支援する
  • 取り組み③: 営業データの収集や分析を行い、営業戦略や施策の策定や評価に活用する
  • 取り組み④: 前線営業マンと協力し、デジタル化に伴う変化への対応や教育を行う

これらの取り組みは、情報システム部門だけでなく、営業部門や経営層との連携が不可欠です。情報システム部門は、デジタル化によるビジネス価値を明確にし、他部門とのコミュニケーションや調整を積極的に行うことが求められます。また、デジタル化は一度きりのプロジェクトではなく、継続的な改善や更新が必要です。そのため、情報システム部門は、変化に柔軟に対応できる体制や能力を持つことも重要です。

 

まぁさすがマッキンゼーいちいちごもっともな内容です。

問題なのはこのレポートってそこそこ話題になったのですが、あれから約2年ここに記された状況はあまり改善されていないし、その兆しも見えづらいという現状です。

 

経営層の上層部は多分に上記を認識していろいろ施策を打っている気はしますが、中間管理職や事業部レベルのトップが、端的に言うと「毎年目標通りの売上げはあがっているし、がんばっている。何の問題があるのか?今の方向性で頑張ればいいのではないか」って思っている節がある気がしてます。

 

このレポートにかかれている「子会社・海外拠点における生産性向上・個別経費報告の共通テンプレート化」がまさにうちの会社のことを言い当てているかのようで、各グループ会社ごとに見事にばらばら、未だにExcelで手集計の世界です。

 

おまけに事業部、グループ会社のトップや役員が変わる度にフォーマットが変わります。言い方は悪いですが、およそ企業会計や統計をまともに学んだ様子のない幹部が思いつきが自分の感覚であれこれフォーマット変更を指示しているように思えてしかたありません。(まぁ私もそこまで真面目に学んだ訳ではないですが)

変更にあたって「目的と効果、目指すところについて」「今のフォーマットで何が不足しているのか」について説明があったことは一度もありません。

デジタル化や真のDXを行うためには、やはりファクトに基づいたプロセスの見直しや思い切ってSAPなどのグローバルなパッケージに業務を合わせることが改めて必要な気がします。

 

「我が社のやり方」を声高に言う一定の抵抗勢力が毎度邪魔をしますが、「グローバルスタンダードとちゃんと比較して我が社のやり方が長じている旨の説明」をしてもらいたいところです。まぁきっと出来るはずはないんですけどね。

 

誰かが言ってたように日本は中途半端に市場規模があるのでローカルでなんとか生きて行くことができてましたけど、これから先(すでに手遅れな気もしますが)そのままでは明るい未来は見えないような気がします。

 

今日のおじいわん。今日も一日暑かったですね。ゴン太くんは皮膚病のためほぼ一日カラー付けて可愛そうですけど、マイ枕でよく寝てくれてました。